妻(後妻)からの相談(子三人(先妻の子)の事例)

遺言・相続の事例

相談者とその周辺事情

財産がない人こそ要注意

繰り返しになりますが、一般的に言われる
『うちはお金がないから相続は関係ない』
『うちの兄弟は仲がいいから相続でもめる心配はない』

という認識は、相続実務に触れてみると全くの誤りと言わざるを得ません。

結論から言えば『財産が少ないからこそもめる』または『兄弟仲が良い人こそ遺言などで対策を取るべき』です。

財産を半分よこせ!!

本事例では、法定相続によれば以下の割合(取り分)となります。

 ・妻 1/2 (900万円)
 ・子供 1/2 (900万円) 3人で均等配分し1人あたり300万円

しかし、実際には1,800万円の遺産のうち預貯金は280万円しかありません。
子供の取り分を支払うために、差し引き620万円(900万円-280万円)を妻が捻出できないかぎり、不動産を売却し住み慣れた家を出ていくしかありません。

現実はドラマとは違う

テレビのドラマでは、多額の借金をめぐって、家族間・兄弟間でもめて奪い合う、といった場面を多くみかけます。
しかし、実際の相続の現場とはかけ離れています

まず、近年の相続の傾向として、預貯金が少なく、主だった財産と言えば、土地・家のみといった場合が多いのです。

そこで相続が発生した場合、実際にその家に住んでいる相続人(妻など)は、他の相続人(夫の兄弟など)に対し

★その居住不動産の価格に応じた金銭の支払いをする(預貯金があれば)
★居住不動産を売却して、金銭を支払う

といった必要がでてくる場合が多いのです。

つまり、現在その土地・家に住んでいる相続人にとって負担となるケースです。言い換えれば、当事者間で力関係・立場に差があります。

このように、対等な両者で奪い合うのではなく、立場の強い者が、弱い立場にある者に対して、一方的に主張していく場合が非常に多いのです。

法律を説明するだけなら専門家はいらない!!!!

~ 以前に、ある相談者から聞いた話 ~

広い会議室に専門家が並んでいて、事例によって担当者を割り振っていた。
 ・裁判 ➡ 弁護士
 ・相続・遺言 ➡ 行政書士
 ・相続税 ➡ 税理士
 ・登記 ➡ 司法書士

80歳近いと思われる相続者(女性)に対し、担当になった専門家は、命令口調で説明(説教の様に感じたそうです)を始めました。

これでは、相談に来たのか怒られに来たのか分からないと感じたそうです。

これを聞いて、私は口調・言葉遣いだけでなく、見下した態度にならないようにも注意しようと思いました。ただでさえ、相談者は悩み、不安なのだから。

説明だけであれば相談とは言えないのではないか・・・
相談者の悩みや状況に合わせた適切なアドバイスができてこそ専門家なのではないか・・・

この事を忘れずに、相談者に寄り添った対応ができるよう、心がけています。

一瞬の光『遺言』

事例に戻り、本件の結末はどうなったのか・・・

遺品の中から、妻・春子さんが遺言を発見しました。
内容は『妻に全財産を相続させる』というものでした。

結論から言えば、法定相続分の900万円ではなく、遺留分の450万円だけを義理の子供たちに支払う事で、家・土地に住み続けることができました。(実際に支払ったのは450万円から、亡き夫の預貯金280万円を差し引いた170万円のみ)

一つの封筒が妻・春子さんの生活を守ったのです。
遺言書一つで、夫は妻を守ったのでした。

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